愛しのさびれ系ホテル

クラシックホテルからコロニアルホテル、じわっとくるホテルまで

高知へのエアー&ホテル

実家のある高知県へは年に数回帰省する。

高知にはLCCが就航しておらず、東京からはJALANAの二強のみ。当然運賃は超強気。正規料金は片道で36,000円ぐらい。往復割引で片道3万円ちょっと×2=約6万円。普通に使える割引料金は片道2万円を超える。早割等もあるけれど、1万円で海外へ行ける時代にこれはちょっと…ま、高知も「海外」ではあるが、独立宣言はまだこれから。

 

で、いつも利用するのが航空券とホテルのパック。どういうカラクリなのかは知らないが、3万円を切る金額で往復の航空券とホテル1泊が付いてくる。しかも、出発の10日前までオッケーとあらば、普通のチケットは買えない。さらに、JALANAの公式サイトで手配すれば、マイルも使えるという…いったい世の中どうなっているのやら。

 

JALの公式サイトから手配した高知のホテル2軒。1軒目は、連休期間中(繁忙期)の価格変動が激しく、2泊目は別のホテルに。はからずも泊り較べとなった。レポートは各ホテル(セブンデイズホテルプラス、高知アネックスホテル)のページへ。

JALダイナミックパッケージを利用。羽田~高知の往復航空券とセブンデイズホテルプラス1泊で25,300円(明細不明)。アネックスホテル1泊追加で28,300円(税込)。マイルをeJALポイントに変えて支払い(実質無料)。

 

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喫茶「きゃんどる」にて

 

大沢温泉自炊部「湯治屋」(岩手県花巻市)

行ったことのある人も、ない人も、知ってる人は口をそろえて「行きたい!」と目を輝かせる岩手県花巻市の「大沢温泉」。宮沢賢治ゆかりの温泉でもある。

 
「1200年前に発見されたと伝えられる大沢温泉。近代和風旅館の山水閣、160年前の茅葺の別館菊水館、200年以上前の建物の湯治屋。趣の異なる三棟でお過ごしいただけます。6か所の温泉・露天風呂で湯めぐりを楽しめます」(大沢温泉公式サイトより)

 素晴らしい口上、色とりどりの写真、時代を超えた温泉テーマパークなのか。いつかは…と思っていたら、その機会は意外と早くやってきた。今回で17回目になるドキュメンタリー映画の上映会「はなまき映像祭2017」。はるばる行く気になったのは、宿は大沢温泉と聞いたから。二日間にわたる映像祭、上映映画の監督やスタッフ一同、観客も「大沢温泉自炊部 湯治屋」で温泉大合宿なのだ。

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(MAPは「大沢温泉」公式サイトからお借りしました)

 

映画の上映から地元の方々のごちそう尽くしの交流会ののち、宿についたのが21時頃。どこをどう通ってきたのか、まったく不明。あたりは真っ暗、ギシギシと鳴る階段、廊下にズラリと干された手拭い。絵にかいたような湯治場だった。さっそく温泉に入り、おじさん、いえ、カントクたちの大部屋で宴会の続き。お布団の誘惑に抗えず、そこそこで寝てしまったけれど、おじさんチームは深夜まで、ふすま一枚隔てたお隣のイケイケ若者チームと交流していたそうだ。

 朝いちばんで豊沢川沿いを散策。風情ある茅葺の家、ランプの内風呂、水車、木の橋、川向うから丸見えの露天風呂や炊事場など。リアル温泉テーマパークは、予想以上に魅力的だった!きのうは入れなかったレトロなお風呂にも入り、食堂で純和風の朝ごはん。賢治先生と教え子たちの記念写真など眺め、今度はもっとゆっくりしたいと宿を後にした。

 

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大沢温泉 自炊部「湯治屋」 合宿のため個別料金不明(一泊朝食 5千円以下) 
★★★★☆(2017.9.16-17)

宿代は季節により変動。室料お一人2,000円弱から。掛布団200円、敷布団200円、シーツ70円、枕10円、毛布200円、浴衣200円…などなど、昔ながらの積み上げ算方式(税別)。別途入湯税70円が必要。WiFi完備(無料)。予約は公式WEBから。

 

鎌先温泉「最上屋旅館 自炊館」(宮城県白石市)

「お部屋もお食事もそれなりでございますが、本当によろしゅうございますか」

電話で予約した鎌先温泉「最上屋旅館」の自炊プラン。一泊二食7千円(税別)。インターネットの料金表にはあったが、ネット予約ができなかった。電話に出た上品な老婦人から「それなり…」と念を押された。

鎌先温泉は、宮城県白石市蔵王連峰の麓の谷底に5軒の宿が建つ。「奥羽の薬湯」「傷に鎌先」と言われ、六百余年の歴史がある。昭和の時代には自炊をする湯治客でにぎわった。半農半工のこけしの里弥治郎から、女衆がこけしやおもちゃを背負い、湯治場の部屋から部屋へ売り歩く「鎌先商い」があった。今では自炊の宿は一軒だけ。

9月の三連休の前日の金曜日、まもなく日暮れの時刻に宿に着いた。玄関には「日本秘湯を守る会」の提灯が灯る、木造の立派な日本家屋。正当派の旅籠屋造り(勝手に命名)である。ポスターになりそう。と思っていたら、本当になっていた。

玄関のある本館からスペシャルな名前のついた特別室、普通の名前のスタンダードルームの前を通り、渡り廊下を渡って、階段を下りた「自炊館」へ案内された。今夜のお部屋は211号室。特別な名前はついていない、ナンバールーム(でもホテルって、ほぼ全室がナンバールームだ)。6畳ほどの角部屋、ジャパニーズバルコニー付のコーナールーム。向かいには炊事場。


さっそく「秘湯」に行く。茶色いにごり湯で温度はぬるめ。源泉かけ流し。じんわり効くタイプに違いない。少し大きめの岩風呂とこじんまりした風呂が、男女別に入れ替わる。廊下には洗面台がズラリと並び、湯治場のにぎわいを思わせる。が、本日はもう一組しかお客様がいないようで、ほぼ貸切り。

食事は部屋食。スポーツウエア風の年配の仲居さんがお膳を運んでくる。帆立の稚貝の酢の物、茸の和え物、野菜の炊き合わせ、豚肉と野菜の陶板焼き、漬物、味噌汁とご飯に果物。やや寂しいものの、値段を考えたらこれでじゅうぶん、揚げ物もなくヘルシーだ。おひつにたっぷりのご飯、程よい味付け。食事の後はやることもない。テレビは百円で2時間、携帯の電波もない。帳場の脇の喫茶コーナーや上級室にはWIFIがあるらしい。コッソリと散歩に出るが何もない。早々に休むことにした。散歩の間に敷かれていた寝具はこざっぱり。あっという間に眠ってしまった。

朝風呂は昨晩とは違う湯舟に入り、部屋で朝ごはん。ごくシンプル。お膳でいただく食事は、ままごとみたいだと思った。朝の散歩は、隣の宿の裏山まで。木造の立派な文化財的な建物、客室はコンクリート造りで、ちょっとアジアの島リゾートを意識した高級そうな宿だった。素敵だけれど、やっぱり「自炊館」のほうが落ち着く。

鎌先温泉 最上屋旅館 湯治プラン 一泊二食付 7,710円(消費税・入湯税込)★★★☆☆(2017.9.15-16) 

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